調査実録

[case7] 自殺未遂の対象者を間一髪で救助!

依頼者は、東京都内に住む40代後半の主婦、桧山さん。
裕福な暮らしぶりをうかがわせるキチンとした身なりで、年よりも若く見えるが、どことなく神経質そうな印象の女性である。

依頼内容

桧山さんが、息子の行方を調べて欲しいという相談に訪れた。

桧山さんの息子、敦氏は23歳。1人息子で、幼い頃から家の中で絵を描いて過ごすことが好きな、おとなしい子だったという。

美大に通っていた頃の写真を見せてもらうと、いつも室内で絵を描いているせいか、色白で、ヤセ型。メガネをかけていて、服装にはあまり気を使わないタイプらしく、ジーパンに黒の革靴、白いワイシャツに紺色のジャンパーという出で立ちである。 内向的な敦氏は、大学に入って初めて友人と飲みに行くようになり、女性経験もなかったためか、そこで知り合ったホステス、友子さんに入れ込むようになったらしい。

やがて大学を出て、絵画教室の講師として働くようになった敦氏は、友子さんと結婚したがるようになり、桧山さんが反対すると、「本人に会えば気に入るよ」といって、3日前に友子さんを自宅に連れてきた。

しかし、友子さんは34歳と、敦氏よりも11歳年上で、しかもバツイチ。1人息子の敦氏に期待をかけていた桧山さんの口調は詰問調になり、友子さんに敦氏と別れる約束をさせて、そのまま帰してしまった。

今まで尊敬していた母親に頭ごなしに反対され、また、友子さんにも別れを告げられて、ショックを受けた敦氏は、翌日になって、「人間の価値は、職業や経歴で決められるものではないはずです。私は死をもって彼女への愛を証明いたします」という、自殺をほのめかした置手紙を残し、荷物も持たずに家を出て行ってしまった。 警察に捜索願を出してはいるが、心配なので、こちらでも捜して欲しいという。

調査報告

まずは、敦氏が立ち回りそうな場所を聞きに、友子さんの所に向かった。友子さんから敦氏の交友関係を教えてもらい、聞き込みをした友人たちから敦氏の純情な性格や、一徹な人間性を聞いているうちに、敦氏の手紙は単なる脅しではなく、彼なら本当に自殺しかねないという不安が、実感として湧いてきた。

一方、別の友人の話から、敦氏が尊敬する画家の作品が展示されている美術館が箱根にあるという情報を入手。そこは、友子さんとの話でも出てきた美術館で、かつて2人で行ったことがあるらしい。急を要する事態なので、友子さんからその時に利用したホテルを教えてもらい、行ってみることにした。

ホテルのフロントで写真を見せたところ、「一昨日来て、昨日の朝、出た」と言う。さらに敦氏は、「キャンプをしたいので、シャベルやロープが欲しいのだが、近くにそういった物を売っている雑貨屋はあるか?」と尋ねたらしい。ホテルに偽名で泊まっていることから考えても、敦氏の自殺は本気のようである。

急いで雑貨屋に向かい、話を聞いてみると、「この人なら、昨日の夕方来た」との返事。 さらに、問題の美術館で聞き込みをすると、人が少なかったので覚えていたらしく、「今日の午後に来られて、閉館前に出ていかれましたよ」という答えが返ってきた。

どうやら、まだ、自殺はしていないらしいという手ごたえができ、駅前の土産物屋を1軒ずつ当ってみると、「1時間ほど前に来たこの人に、箱根神社への道を聞かれたので、教えてやった」という店があった。

車で追跡すると、途中で道が分かれている。1本は神社に向かう参道。もう1本はホテルに向かう車道である。そこに、記念写真を撮る写真屋がいたので聞いてみると、敦氏は神社の参道側に行ったという。

すでにあたりは暗くなりはじめていた。参道に車は入れないため、2手に別れて追跡すると、車に乗っていた調査員の1人が走行中に、不自然な揺れ方をしている枝を発見した。木全体は揺れていないのに、1本の枝だけが揺れていたのである。

急いで車を停めて、揺れている枝の元に駆け寄ると、1人の男がビールケース2箱を重ねた上に立ち、ロープを枝にかけようとしていた。薄暗い中で目を凝らして見ると、間違いなく敦氏である。必死で飛びかかって制止し、「お母さんが心配しているから、帰ろう」と言うと、敦氏は黙って力無く頷いた。 まさに『間一髪』。あと数分遅ければ間に合わなかった、ギリギリの救出劇であった。

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